喜界島探訪記外伝


ここが喜界島にいる間よく通った
シリアスという喫茶店である。
シリウスでは無く、シリアスだそうで、
別に意味はなく、語呂がいいからつけたそうだ。
おいしいコーヒーと素敵なジャズが味わえて、
とにかく日中は暑い喜界の中で
我々にとってはまったくのオアシスであった。
だがここに至るまでの道は険しく
すぐにたどり着けたわけではなかった。
最初に試した避暑ポイントは、
島の繁華街のはずれにある、ファミレスである。
この「ファミリーレストラン」という表示に
私達はだまされた。
ドアを開けて入ると
メード服を着たお姉さんが「いらっしゃいませ」
と声をかけてくれることは無く、
カウンターの椅子に座って新聞を広げているおじさんが一人で
怪訝そうな顔をしてこちらを見ている。
「すいません、お茶を飲みたいのですが?」と言うと、
「ああどうぞ」とごくごく日常的なファッションで
立ち上がった。
メニューに目を通してみた。
そしてすごいことを発見した。
ハンバーグが無いのだ。
私は生まれて始めてハンバーグのない
ファミレスに入った。
断っておくが、私はこの店にけちをつけているわけではない。
このおじさんはコーヒー1杯で
何時間もねばる私達を非難することも無く
だまって新聞を読みながら見守ってくれたのだ。
私にとっては
普段暮らしている関西と、喜界島との間での
ちょっと異文化体験であった。
で、シリアスである。
マサヒロの絵を展示してもらおうと
地元の高校に持ち込んだのだが、
今一ついい反応が得れなかった私達に
快く店内に絵を置くことを、許可してくれた。

そこからまた面白い展開になるのだが、
それはまた後日に。

shinya