至福の時

やっと辻井君の演奏が見れた。
大人になるまでの彼の音楽をどうしても見ておきたかった。
舞台は新装なったフェスティバルホール
申し分ない。
BBCフィルハーモニックと佐渡さんの演奏が始まる。
驚かすような大きい音を出さないパフォーマンスであるが
ピアニッシモの音もコントラバスの低音もちゃんと聞こえてくる。
ハーモニーは響きあい混じりあって、身体が揺れる。
やはり素晴しいホールである。




辻井君は笑顔いっぱいで佐渡さんと共に登場した。
イントロダクションで彼の表情が一変し、
こちらにも緊張感が伝わる、
佐渡さんの呼吸の音を捉え、完璧なタイミングで曲は始まった。
なるほど音楽を演奏する、音を奏でるというのは
こんなにも喜びであるのか。
用意された演奏が終わりアンコールは
カンパネラ、
技術的には素晴しいのだが、
曲の持つ悲しみの部分の表現がまだ出てこない。
人生の経験を積んだ10年後に
もう一度聞いてみたい。


shinya