二人の巨星


山口県に行って来た。
目的は二つ。
一つは「夢のみずうみ村という
デイサービスセンターを見学すること。
もう一つは山口に生まれた二人の詩人、
中原中也金子みすずの記念館を訪ねることだ。
サービスセンターだけで通用する通貨を使った
たくさんのサービスは
ちょっとしたギャンブルなどもあり、
参加者の生き生きとしたまなざしが印象的だった。
わたしもこんなところで麻雀とかしたほうが、
ちいちいぱっぱを歌っているよりも楽しいと思う。

中原中也記念館は温泉街のど真ん中にあり、
彼の帽子姿を模した建物は彼が幼少時に登ったらしい
老木と溶け合って、良い感じである。
私が彼の詩にひかれてこの地を訪れたうん十年前には
もちろんこんな立派な建物は無く、
冬の長門峡はとんでもない寒さであったのは
よく覚えている。

山口から仙崎へと向かう。
港で漁師さん御用達の食堂でお腹一杯になった後、
すぐ近くの金子みすず記念館をめざす。
エントランスは古い本屋さんを忠実に再現してあり
その奥が展示スペースになっている。
彼女の人生をたどりながらよく知られた詩
初めて出会った詩を味合う。
時間がゆっくりと流れいつまでもここに居たくなる。

彼女は最後に子供の未来を願い、
自らの命をかけて夫に訴える。
死ぬ前に撮った写真はあまりにも凛としていて
それがまた悲しい。
円熟した彼女ははたしてどんな作品を生みだしたのだろうか?
それは誰にも分からない。


shinya