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赤いチェンバロ

薄暗い舞台。スポットライトに浮かび上っているのは赤い小さなチェンバロ。まるで女郎花のようだ。他の楽器も奏でたくて、待ちきれないように身構えている。私はこの時が好き。私の中ではこの時からもう演奏は始まっているのだ。
今日はイ・ムジチのコンサート。 イ・ムジチはヴィパルディの“四季"しか知らず、チェンバロは見るのも生で聴くのも初めて。
この楽団はイタリアの室内楽団で12名のメンバー構成で活動されている。
演奏は優しかった。イタリヤバロックの曲が多かった。赤いチェンバロの音って何でこんなに懐かしいのだろう。目を閉じているとまるでウイーンで見たゴシック建築の一室で聴いているようだ。
遠く飛び去ってしまった懐かしい人達が私の周りに居る。確かに優しい息使いが伝わってくるのだ。
皆来ている。

12人の姿は音そのものだつた。奏でるのではない。体中で音を生み出している。
なかでもコンサートマスターのアントニオ・アンセルミのカッコいいこと‼
何度も何度もアンコールは続いた。
その中の“赤とんぼ”は最高だった。
外国からのアーティストは日本の曲を必ず入れる。日本の観客のご機嫌伺いのように思う時もシバシバあるが、彼らの音は違った。
12人の手の中で温められ、大切にされているのがつたわるのだ。
なんで涙が流れるのだろう。来て良かった。
みなさん、netで探して聴いてみて下さいね。
                     M・Y