ハワイよいとこ一度はおいで♬ ⑫

その日はヒロの街を出て、海沿いの19号線をはしってみる。両サイドは南国の蔦や大木が生い茂る。偶に開けるとまったく何も無い太平洋が見え、すぐまた樹林の道に戻る。何度か繰り返したその時、パッと両サイドが開けた。木漏れ日の中を走っていたのが光の中に突入したのだ。
なんだ これは! 山側は広く平らになりお墓が沢山建っている、それも日本の様式で。  ここは日本人墓地なんだ。


びっくりしたのと、胸に迫るものとが同時に来た。ヒロの街は日系の人達が造った、と言うのを思い出し、遠く日本を離れこの地に骨を埋められた人達の思いが迫って来る。どんなにか帰りたかった事だろう。こんなに立派な日本様式のお墓を建てられたのは何世位の人なのだろう。きっと成功された人だろうなぁ。これほどに祀って貰えず埋もれて逝かれた人も多いんやろなぁ。お墓の一基一基が愛おしくて侘しくて切なく、思わず写真を撮った。 そんな行為は霊を呼ぶので不吉、とされるけどそれでもいい。乗りたい人は私に乗って。一緒に日本に連れて帰って上げますから…とまた々一枚撮った。あぁ、この旅をツアーにしなくてよかった。ツアーだったらこの出会いはなかったもの。
“楽園の島 ハワイ”もええねんけど、ちょっとだけ思ってあげてほしいなァ とおばさんは思うのですよ。
因みにお墓はみんな太平洋に向かっていた。この先の先の先にある祖国、日本を見詰めながら。     
     M・Y