切断ヴイーナス・私の思い

凄い本が出て来た。心地よい衝撃だった。何はともあれ美しい。カッコいい。強さがあり、潔さがある。切断という過酷な運命を乗り越え、なおかつ生命の気迫をさらけ出した彼女たちの生き様に感動した。そして、何故か愛をうけとった。
でもどこかしら冷たく見つめる私がいる。
確かに画期的な事なんだ。素晴しい写真集だ。この本の事はどのサイトでも褒めそやしている。それはそうで良い。でも彼女達は特別のように思ってしまう。私のヒガミ根性かなぁ。
義足を作る大変さを知っているからかもしれない。
ピッタリと合う義足を作ってくれる熟練の義肢装具士は少なく、義肢が進歩して満足度がUPしているとは言い切れない。
からだにフィットして愛着を持てる義足に巡り合えたヴイーナス達は例外的な人達と思う。
義足が合わず松葉杖や車椅子生活に戻る人も沢山いる。費用と時間もかかるのだ。それでもピタッと合うソケットを作るのは奇跡に近い、ときいた。

この本が出たことで臼井さん(義肢装具士)の後に続く技術屋さんが沢山出て来て、誰でもが安く作れる事を、私は願っている。
もう一つ、彼女達に街で出会った時、ギョッとして後ずさりするのでなく、爽やかにニッコリ笑ってすれ違う人が増える事も私は願う。

また、この本は
≪このヴイーナス達に出会った時、貴方はどうしますか。たじろげないでいられますか。さあ、どうする≫と、問を突き付けているのだ。綺麗だ、カッコいい、だけで終わって欲しくない。

                                            M・Y