しばらくのご無沙汰でした⑪

食事時の悩みはみんな同じだったみたい。
朝食と夕食が一番の悩みだった。
それは いつ出て行くか なのだ。
6時の夕食に五時半くらいからソワソワする。入り口からソッと覗く。広い部屋にはまだ誰もいない。
(まだ早いなァ〜)と中に引っ込む。五分ほどしてまた覗く。
(まだアカン)と中に引っ込む。 ひょっとしてムツゴロウの生まれ変わり?
そして用事《本を読んだり、ラジオを聞いたり、洗濯したり》をしてると時間を忘れる。
ドアーが開き「食事ですよ〜 出て来て」と。出てみると全員着席していて、最後に出て行った私を一斉に見る。
それが嫌で一番に出てみた。
五時半なので誰もいない。広い部屋に私だけ。6時の配膳までじっと、ただ待つだけ。何だかおあずけさせられてる犬みたいやし〜。
いっそお箸をくわえて“はらへった〜 飯くわせ〜”とテーブル叩こうかな とさえ思ってしまう。
この話をすると「私も何時も悩んでんねん」と言う人の多かったこと。  「誰かがいてたら私も出よかなァ って思うわ」だって。  
観察の結果55分に出るのがベスト。  でも、私はそのベストタイムに縛られる自分がいやになった。
ええいめんどくせぇ私は誰もいなくても出て行くことに決めた。
そして人間観察をすることにした。

病院のあり方。看護師のあり方。介護のあり方。そして高齢者のあり方。などなど退屈しなかった。
人間の心って視点をずらすと嫌なことも楽しくなるものだ、と言うことを知った。楽しい事や面白い事を一杯見つけて有意義なリハビリ療養生活をすることに決めた。
同じシンドイめ すんねんやったら楽しい方がええもんね     M・Y