しばらくのご無沙汰でした⑥

私の見解とは違うけど、術後の経過は素晴しく順調…とのこと。

この入院は思いの外の大手術で苦しかったり、悔しかったり、悲しかったり隋分嫌な思いもした。けど、面白い事、珍しい事、初体験の事もいっぱいあった。そのうちの一つが“ベット浴”なるものだ。
「お風呂はベット浴か器械浴か、どっちにしますか」と看護師が聞いて来た。
何のこっちゃ? まぁ 分からんけどベット浴にした。
面白そうや。 物は試しや。ここしかでけへんやろ。  いざ出陣!
なんとベットのまま連れて行かれ、私の意見も聞かず身ぐるみ剥がされ、冷たい板に転がされ、ベルトで固定。
そしてスイッチ一つで持ちあげられ、横移動し、静かに湯船に沈められ二人がかりで頭からつま先まで洗ってもらう。
何とも表現出来ない気持ちだ。久しぶりのお風呂で気持ちはええねんけど、生きながら献体の気分を味わった。洗い終わると又上げられ、横に行き、タオルを敷いたベットに降ろされ、ゴロゴロ転がされパジャマを着せてもらう。
なんちゅうか大鮪になった気分。
この初体験は、私の尊厳を根幹から揺るがすものになった。

     元気な人も一度は体験入浴した方が良いのでは?
でもこれが楽しみになり「今度のお風呂はいつ?」と聞いてしまう不思議さよ。
退院まで何度かお世話になり,終わりの頃には注文を付けるまでに≪成長≫していたのだ。

                                  M・Y