魂のぶつかる音


魂のぶつかる音を聞いた。
満月のような太鼓を 彼が叩くだけ
それなのに 怒涛の波しぶきになり 逆巻く吹雪になる
そして、時には春風に舞い盛る桜吹雪にも

客席に背を向け 太鼓の魂に立ち向かう
ねじ伏せても跳ね返され 弾き返される力
彼の筋肉が 動じない太鼓の前で燃え盛っている
ガッ と開いた両足は大地を掴み 桴(ばち)を握る腕は大樹のよう

ただ打つだけなのに この感動は何なのか

きっと魂の真剣勝負をしているからだ
魂の真剣勝負が芸術なんだ

                  M.Y