私を待っていたクリムト殿 Ⅰ

20年ほど前、友達がカラーコンサルタントの事務所を開いた。そのお祝を何人かですることになり私が任された。  理由はみんな忙しくて一番の暇人だったから。
そこで私はクリムトの“接吻”の額を選んだ(もちろん複製ですよ)。すると店員は言った。「えらくマニアックですね」と。
悪口か誉め言葉か判らんかったけど、私の心を突き動かした絵だったんだ。そして、その友達も「大好きな絵やわ」と言ってくれた。 今年彼の故郷ウイーンで“グスタフ・クリムト生誕150周年”が繰り広げられているのだ。ウイーンに来た目的の一つがそれだった。
何はともあれウイーンは素晴しい街だ。何所を見ても、どの道を曲がってもみーんな美術の教科書にあったような建物が…。そんな中このシュテファン大聖堂は圧巻だ。中世に建てられ、ロマネスク様式からゴシック様式に建て替えられたらしい。
それはそれは荘厳に青空にそびえていた。
そして、いよいよベルべデェーレ宮殿へ。
                     M.Y