クリムトへの道


アルベルタ美術館と違って
ヴェルベデーレ宮殿のバリアフリー化は
まったく進んでいなかった。
丘のふもとにあるエントランスをくぐると
膨大なガーデンが広がり坂を上っていくのだが、
当然のことながらそこは坂である。
半分くらい登ったところで
砦のような階段が行く手をはばんだ。
見回してもスロープはない。
しかたなくM.Yさんと一段づつ登っていく。
登りながら自然に口から言葉が出てくる。
「なんでやねん!なんでスロープもエレベーターもないねん!」
無事に登りきった私は再び階段を駆け下り
「ウオーリャー」と叫びながら
車椅子を運びあげた。
ゴールの建物はまだ遥か先にある。

shinya