母の胎内?

先日奈良、室生寺の山奥にカリンバのライブに行って来た。そこは鬱蒼としたトトロが覗きそうな木々に囲まれた大きな古民家で、色んな廃材やヤシの実なんかの材料で創るカリンバの工房兼ギャラリーをやっておられる。
戸の無い土間から入るといろんなカリンバが並んでいる。ヤシの実で作ったもの。流木で作ったもの。流れ着いた外国の缶詰でつくったもの。みんなそれぞれの響きや音色を抱えてひっそりと並んでいる。まるで私達を選んでいるみたい。
悪い予感が当たった。カリンバに選ばれてしまったIさん。無理して買ってしまったみたいだ。
指ではじくと儚くて心が震えるような響きだった。
庭に出てライブが始まった。アメリカ人のケビンさんの演奏は広がる空を喜ばせ、山を喜ばせ、木々を、そして、石をも喜ばせた。
私は何だか母の胎内で丸くなりながらうっとり眠っている気分になったのだ。 M.Y