松島は島ばかり


今回の東北の旅にはある人の言葉があった。それまでは、私が行っても良いのだろうか。傷つけるのではないか、など考えて前に出なかったんだ。でも、古い友達は会津が大変なんだ…と言った。風評被害と観光客の激減で息絶えそうなんだと。少しでも良いからお金を落してあげてほしい、と。それならと出かけたんだ。
仙台空港は被害の傷跡も無く、私達をむかえてくれた。だが海岸線を走ると山積みの瓦礫が連なっている。言葉が無かった。
お寿司屋さんや喫茶店でも津波のお話を聞かせて貰った。すし哲さんでは2m10cmに印があり、喫茶店ではマスターの胸まで水が来たとの事。
そして二人の共通点は「よく来てくださってありがとう。少しでも見て頂くのが一番うれしい」と言って下さった。
喫茶店を出て時間があったので浜辺に行ってみた。ザブン ザブンと打ち寄せる波の音だけが何も無かったように大地の時を刻んでいる。
ふと見ると誰も乗っていない車椅子が1台ある。波打ち際で杖をついたお婆さんが貝殻を拾っている。その人は私のそばに来て話しかけた。
色々話すうち「私の甥っこも海に持って行かれてよ〜」とつぶやいた。
私は心に決めた。この旅の間、絶対津波のことは聞かずにおこうと。みんなみんな多かれ少なかれの痛みを背負っておられるのだろうから。

その後松島湾の観光船に乗った。心地よい揺れと単調な説明にshinyaはんは「島以外の物が見えたら起こしてや〜」と言い残し安らかな眠りについた。
“松島や ああ松島や松島や”は芭蕉の名句です。私も迷句をひとひねり“松島や 島の他にはカモメだけ” じゃ〜ん
この迷句のお陰で? 会津で素敵な出会いがあったんで〜す。
                                                     
                                  M.Y