ちょっと違うんじゃない?


十三の第七芸術劇場・通称七芸で、公開されたばかりの『311』を観て来た。原発に対する思いがあんまり伝わってこなかった。
ただ放射線線量計の数字がドンドン上がって行く恐ろしさと、ピッピッという線量計の音は、目に見えないものに襲われる恐怖感で背筋が寒くなった。
でも原発の事はそれまでで、車がパンクした事によって終了したのが何か物足りなかった。もっと押して欲しかった。爆発によって故郷を追われ、家を捨てなければならなかった人達の怒りや悲しみが伝わってこなかったのが残念だった。
そして、避難所の6歳の子供にインタビューする所が変なんだ。
「家は大丈夫だったの?」「お父さんとお母さんは何所に居るの?」「お兄ちゃんやお姉ちゃんはどうしたの?」「僕は一人っ子なの?」と、まるで悲しい答えを期待しているような質問をしている。この質問は最低だ。子供の心を傷付けるよ。でもその子は素直に「家の2階は大丈夫。お父さんはお仕事に行ってるしお母さんはトイレに行ってる。お兄ちゃんもお姉ちゃんもいないよ」と答える。監督の残念そうな気持が伝わって来て、何だか可笑しかった。
しかしである。被災地の映像はテレビでの物とは比べられない。 これを今撮り続けたスタッフの情熱というか気力は凄い。
特に大川小学校での映像には息が出来ないくらいの衝撃だった。自分の子供を探し続ける、それも、長い棒を地面に突き立てながら探しておられる二人のお母さんの言葉は忘れられない。
尋常でない地震に子供を迎えに来た父兄に点呼が終わるまで待て、と学校は言う。待っていたお母さんと子供達は流された。
ふりきって連れ帰った子供たちは助かった。学校の言う通りしたのが間違いだった。以前から山に逃げれる階段を作ってくれるよう陳情したけれど そんなことは必要ないです、と笑われた事など話されていた。断腸の思いとはこのことだ。
マイクに吹きつける海からの風がゴーゴーと呻りを挙げる。  まるで泣き叫びながら波に飲まれていった子供達の声だ。
この映画は賛否両論あると聞く。でも、観てから言って欲しい。観た後どう思うかは自由だと思うけど、ぜひ見て欲しいのだ。亡くなった人達の為に。
                                                            M.Y

続きを書くことに決めた。