続 私の公園デビュー  

電動車いすを考えていなかった私は何だったんだろう。この快適さは何物にも代えがたい爽快感だ。
初めて車を運転した時とは違った感動が私を包む。ちょっとした小徑も、スッと曲がって行ける。始まったばかりの春風が頬や背中を撫でて行く。屋並みが途切れると、パッと明るい太陽が降り注ぐ。車では味わえないこの心地良さ。ゆっくり歩く という時間の豊さを取り戻した感じがした。今までの街の様子が一変した。目線が変わり、心のままに移動出来ると言う事はこんなんやったのか。陽の当たる瞬間 そして影になる瞬間なんて思わずワクワクする。
念願だった役所へ行った。狭い駐車場の満車も気にしなくて良いんだ。何時も横目で見ていた石畳の公園を通る。ガタガタという石畳の感触も今日は心地よく背筋を掛け登るんだ。こんな感覚は初めてだ。
この初遠出での訪問先は友達のケーキ屋“フレージュ”にした。初遠出記念日のツーショットです。
その数日後友達に会いこの感動を話し合った。  
彼女は言った。「車椅子に乗る事はプライドには関係ないわ。特に電動車いすに乗った時の感覚は忘れられへん。裸足で歩いた〜と思えたなぁ」と涙ぐんでいた。 こんなに新鮮な世界を与えてくれた電動車いすに私は『電チャン』と名前を付けた。
電チャン これからよろしくね。
                 M.Y