私の教科書みーつけた


この絵は90歳の女流日本画家、堀文子の『蜘蛛の家Ⅰ』である。
私は今日この絵に会うためにここに来たのだ! とおもうほど衝撃をうけた。
彼女を知ったのはNHKの人間ドキュメントで、すぐにPCで調べたのだ。そして、今日名古屋の名城美術館に来た。
沢山の絵は今まで見た日本画とはまったく違い、奥深くエネルギッシュで命の叫びが溢れている。
その中でもこの絵からは凄いパワーがつた伝わってきた。
細い細い蜘蛛の糸が真っ黒の背景を切り裂いている。
見ている私に彼女が乗り移った気がする。  息をひそめ 全神経を目と指先に集中させ写し取って行く彼女に私はなっている。
動かないで! 風よ吹かないで!
見えにくくなったら霧吹きで 水を掛けて描いたとのこと。凄い気迫。小さな生き物の輝く命にひれ伏す と彼女は言う。

70歳にしてイタリアにたった一人で住み、一本の巨木を守るため財産を叩いて土地を買ってしまった彼女。
彼女だから出来る生き方かもしれないけど、そんな生き方に私は憧れる。

帰りに本を買った。その中には一人で生きて行く気構えが一杯つまっていた。この本は私の生きて行く力になってくれそうだ。
90歳の文子は言う。
≪息の絶えるまで感動していたい≫
≪現状を維持していれば無事平穏ですが、新鮮な感動からは見捨てられるだけです≫と。

まだまだ素敵な言葉がいっぱい詰まっている。私の、これからの教科書です。   
  

                  キリリッと生きて行く覚悟を決めたM.Y