何で身上潰した


今朝どうしても頭がかゆくて我慢出来なくなり風呂に入った。 洗髪をして湯船につかっていると極楽である。
温泉にでも行くと朝ぶろを楽しむことはあるが、家ではどうかというとまずそんなことはやらない。
これはプチ贅沢なのか、それともこのご時世では避難されるのかとちょっと考えたが、もう湯船に浸かっているので答えを出してもおそいのである。 恍惚としているとある情景を思い出した。

昔、奈良の山奥に住んでいる時のことである。
大阪からさほど離れているわけではないのにその村の冬の寒さは相当なものであった。
この時期なら朝外へ出ると水たまりはカンカンに凍っていた。
私の住んでいた家は立派な木材を惜しげもなく使った気持ちのいい家ではあったのだが、
天井も無くむき出しなので、朝目を覚ますとはく息は真っ白になる程であり、
寝床を抜け出すには相当の覚悟がいったのである。
しかしである。
ちょうどそのころ流行っていた24時間風呂がその我が家にはあったのである。
同じように早く目を覚ます我が娘に目配せをすると「せーの」の掛け声とともに寝床から風呂まで直行しどぶんとヒノキの湯船に飛び込む。
その瞬間の幸福感はなんとも言えないものであった。
きっと私達二人はブータンの国王夫妻のような笑顔をしていたのだと思う。
こういったプチ幸せ経験は工夫すればそうお金を使わなくても可能だと私は考える。
家の中の一部分だけでもお気に入りの場所を作る。
好きなお天気姉さんを見つけて朝からその奇抜なファッションを楽しむ。
必要なのはちょっとしたアイデアなのである。

shinya