♫ 明日の朝、ママから電話で〜


バルト海に浮かぶスウェーデン最大の島、それがゴットランド島である。
その中で最もにぎわいのある港町がヴィスビィ、今回の宿泊地である。
ホテルにチェックインした後、私は夕暮れの旧市街を歩き始めた。
なんとも気持ちのいい町である。
ヨーロッパの町はイタリアもフランスもそれぞれに素晴しいのだが、
北欧の街並みはどこか特別に私達日本人に訴えかける何かを持っている。
のんびり歩いていると、前をゆく子供達が突然路地に入っていった。
私もつられてふいっと入ってみる。
子供らしくうだうだしながら楽しそうに歩く彼らに追いつかないように
私も家々の佇みをゆっくり眺めながら足を進める。
どこに出るのか行き止まりになるのか
初めての道を行くのはとても刺激的である。
ふいに海側の景色が大きく開いた。

ズドンと落ち込んだ先には家や教会やホテルの向こうに海も見える。
そして低い石垣の上にはクロネコが一匹、
あまり警戒する様子もなく私を見つめている。
まるで「魔女の宅急便」の一場面である。
私は彼(彼女?)を驚かせないように
ゆっくりと「ジジ」の前を通り過ぎ、
夕焼けが見える方向に向かった。
こんな町に住めたらいいなあ、
めずらしくそんな風に思ったりした。

shinya