蕎麦紀行


神戸の県立美術館に行くついでに東灘の「さかばやし」にソバを食いに寄った。
ここは灘の福寿という酒造元が経営していて評判がよく、
一度行ってみたいと思っていたのだ。
国道43号線に面した立地ながらすこし奥まっているので
静かな佇まいである。
オープン時間より前に着いたのだが、聞くとほとんど予約で埋まっているとのことで
何とかもぐりこませてもらった。
この周辺には酒蔵や酒の販売などの建物が並び、観光スポットになっているらしく、
バスなどで客が押し掛けるので、予約を取っておくのが無難なようである。
席に座って天ぷらせいろの大盛りを注文した。
周りを見るとほとんどの客が日本酒を楽しんでいる。
料理が来るのをポカンと待っている自分がちょっとさみしい。
ソバを茹でるのに必要な時間が過ぎ膳が運ばれてきた。
オオー、ソバが満タンである。
これなら普通盛りでも十分かもしれない。
天ぷらは見ただけでカラッと揚がっているのがわかる。
海老にくらいつくと口の中でざくっと音をたてる。
口の中に広がった油の香りが消えないうちにソバを流しこむ。
”ああ俺は生きている”と実感出来る瞬間である。
突出しに取った生湯葉もうまかった。
今回は食べることが出来なかったが
魚は明石から運んでいるらしい。
なかなかの店でありました。

shinya