雨のち特等席

7月22日、その日が来ました。
いつも元気で早起きの私は
夜明けから目を覚ましていました。
早朝のスコールの後、空にはうす雲がかかり、
太陽はすっきりと姿を現してくれません。
天気予報も快晴ではなく「雨のち曇り」
日蝕に向けて少し不安な朝です。
島は小さいのであまり天気が場所によって
変わることは考えられないので、
出来るだけ北のポイントをということで
観測場所はムチャカナ公園に決めた。
(北に行くほど少しだけ日蝕の時間が長くなる)
私達大阪組と、友人の奥さん、それに
末っ子のさくらチャンとともに、
9時過ぎに出発した。
場所取りが大変かなと思っていたのだが、
着いてみるとまだ観客はちらほら、
どうやらほとんどの人がビーチ周辺に集まっているようだ。
日蝕の時間が近づくと、厚い雲は段々と姿をなくし、
薄く細い雲が流れるだけになり、
太陽は常に見える状態になってきた。
10時を過ぎ、ついに太陽が欠けだした。
いよいよショーの始まりである。
太陽が小さくなっていく速さは以外にのろい。
日蝕メガネをかけたままずっと空を見上げていると
首が痛くなってくる。
私は地面に転がって見上げることにした。
みんなはどうしているのかと見てみると、
Yさんとさくらちゃんは真剣に空を見上げているのだが、
中山女史はまったく興味がないようで、
手持ち無沙汰にしている。
きっと早く家に帰ってビールを飲みたいのだと思う。

一時間近くたっていよいよ細い太陽になってきた。
周りはどんどん暗くなってくる。
うるさかったセミは泣き止み、
変わりにカラスが不安そうに鳴いている。
ついにクライマックスが近づいて来たのである。

続く

shinya