サクラ


友人と桜を見に出かけた。
小川に沿って咲き誇る、
見事な桜である。
少し前まで桜はあまり好きではなかった。
特に葉を出さずに身体全体に花だけをつける、
ソメイヨシノが苦手であった。
取ってつけたようであり、
バランスが狂っているように思えた。
どことなく「死」をイメージさせ、
夜などその下を通るのも怖かった。
それが最近素直に美しく見え出した。
その理由は多分、
自分の中で「死」が身近に感じ出したからだと思う。
大切な人の死に何度と立会い、
自身も年を重ねてきた。
これからいったい何年、
春を迎えて花を眺めることが出来るのかと考える。
「死」をたまに考えながら生きるのは
悪いことでは無い。
それは大事に生きることに繋がるから。
そう私は思っている。

shinya